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2018/11/06(火) - 2018/12/01(土)

11/6-12/1 水越 武 写真展『MY SENSE OF WONDER』

終了しました
  • Exhibition

花崗岩と月・燕岳(後期)

このたび、ヒマラヤや熱帯雨林など世界各国の自然と対峙してきた国際的自然写真家である水越武さん「MY SENSE OF WONDER」を開催いたします。

ふげん社では「天上のモノクローム」から3年ぶりの個展となります。

今回は、1970 年代〜2010 年代に日本全国で撮影したカラーの風景写真を、前後期あわせて 40 点展示いたします。

前期は「水の音」と題して人間の生活圏で捉えた写真を、対して後期は「光の音」と題し人間界から隔絶された世界で捉えた写真を展示いたします。

会期中には、水越武さんと写真評論家の飯沢耕太郎さんとギャラリートークショーを開催いたします。

驚きと感動、深い畏敬の念をもって森羅万象を見つめ続けてきた水越さんが、研ぎ澄まされた感受性で大自然をとらえた選りすぐりの作品を、ぜひご高覧下さい。

同期間中には、水越さんの屈斜路湖での生活を取材した写真展を、3 階のデジタルラボ Papyrusで開催いたします。どうぞ併せてご来場ください。

 

雨後のサンカヨウ・上高地(前期)

 

イソツツジ咲く原野・北海道(後期)

小川の氷 戸台川・南アルプス(前期)

 

■開催概要

水越 武 写真展『MY SENSE OF WONDER』
2018年11月6日(火)~12月1日(土)

前期「水の音」:2018年11月6日(火)~17日(土)
後期「光の音」:2018年11月20日(火)~12月1日(土)

火-金 12時〜19時 / 土12時〜17時 / 日・月 休み※11/23(祝)も休まず営業いたします

会場: コミュニケーションギャラリーふげん社
〒104-0045 東京都中央区築地1-8-4 築地ガーデンビル 2F
TEL:03-6264-3665 Mail:info@fugensha.jp

 

[同時開催]


水越 武の「森の生活」(撮影・新納翔)

水越さんの北海道・屈斜路での生活を取材した写真を展示します。

会場:デジタルラボpapyrus
〒104-0045 東京都中央区築地1-8-4 築地ガーデンビル 3F

http://papyrus-labo.jp/

 

[カレンダー販売]

「MY SENSE OF WONDER」の作品が、日本アグフア・ゲバルト株式会社の 2019 年公式カレンダー に採用されました。

会場で、1,000円(税込)で販売いたします。

商品詳細、通販ご希望の方はこちらのページをご覧ください。

 

■作家プロフィール

水越 武 Mizukoshi Takeshi

1938 年愛知県豊橋市生まれ。 東京農業大学林学科中退後、田淵行男に師事し写真を始める。 山と森林をテーマとし、『日本の原生林』『わたしの山の博物誌』 『真昼の星への旅』『最後の辺境』など多数の写真集がある。 土門拳賞、芸術選奨文部科学大臣賞など受賞。 国際的にも高く評価され、作品は国内外の博物館、美術館にも収蔵されている。

 

私の「センス・オブ・ワンダー」

水越 武

潤いのある繊細な美しい森と、澄んで絶えることのない流れを持つ日本の山は、季節に激しく移ろい、生物多様性にも恵まれている。

山歩きはそんな豊穣な自然がたっぷりとつまった世界に身を浸し、その恩恵を五感を通して浴びる行為である。

野外で一人遊ぶのが何よりも好きだった私は、十代の初めにこんな山にひ かれ、洗礼を受けた。

自然を見る目も、その触れ方も、すべて山から教わった。何かをつかみたいと追い求め、多彩な生命を抱えるさまざまな世界をひたすら歩き巡ってきた。

山や自然を撮る仕事を半世紀以上も続けてきてつくづく思うのは、写真の 技術などよりもっと大切なことがあるということだ。

それは自然への好奇心であり、自然の中で森羅万象に出会って驚き、感動し、それに加えて畏敬の念を持って不思議だと思う心である。

私をとらえ、深いところで共鳴した、そんな自然を見ていただきたい。

これが私の「センス・オブ・ワンダー」である。

 

■イベント

水越 武×飯沢 耕太郎 ギャラリートーク+パーティー

2018年11月10日(土)14時~15時半

参加費 2,000円(ドリンク付き)※要予約

本展にテキストを寄せていただいた写真評論家の飯沢耕太郎さんを対談相手にお迎えして、写真展会場でギャラリートークを開催いたします。
水越さんは、写真の仕事を初めて半世紀以上、世界の高峰や原生林、熱帯雨林など、手つかずの厳しい自然環境と対峙されてきました。今回展示されている作品についてはもちろん、水越さんにとって自然と向き合うとはどういうことか、屈斜路での生活について、今取り組んでいる仕事など、これまでの仕事を振り返るお話をお聞かせいただきたいと思います。

トークの後には、ささやかなパーティを催します。
北海道屈斜路にお住まいの水越さんが、東京でお話しをされる貴重な機会です。
皆様のご参加をお待ち申し上げます。

予約方法:

電話とメールで承っております。
メールをお送りいただく際はタイトルを「水越トーク」、本文に「代表者のお名前、参加人数、当日のご連絡先(電話番号)」をご明記ください。

TEL:03-6264-3665
Mail:event@fugensha.jp

ゲストプロフィール:
飯沢 耕太郎
写真評論家。きのこ文学研究家。1954年、宮城県生まれ。1977年、日本大学芸術学部写真学科卒業。1984年、筑波大学大学院芸術学研究科博士課程修了。主な著書に『写真美術館へようこそ』(講談社現代新書1996)、『デジグラフィ』(中央公論新社 2004)、『きのこ文学大全』(平凡社新書 2008)、『写真的思考』(河出ブックス 2009)、『キーワードで読む現代日本写真』(フィルムアート社 2017)、『きのこ文学ワンダーランド』(DU BOOKS 2013)などがある。

 

水越武の「SENSE OF WONDER」

飯沢耕太郎(写真評論家)

水越武(1938〜)はいうまでもなく日本を代表する自然写真家の一人である。1975年に最初の写真集『槍・穂高』(山と渓谷社)を刊行して以来、山岳写真を中心に多くの写真集を刊行し、展覧会を開催してきた。その撮影範囲は、日本だけでなくヒマラヤから赤道直下の熱帯雨林までカバーし、1988年末に北海道川上郡弟子屈町屈斜路に移住して、今なお旺盛な創作活動を続けている。

水越の写真作品を見るたびに、この人はどのような思いを込めてシャッターを切っているのだろうかと考えてしまう。山や海や森にカメラを向ける写真家は数多いるのだが、彼の写真は、どれを見ても隅々までぴんと張りつめた緊張感が感じられるからだ。現代人にとって、自然はもはや畏怖の対象ではなく、ピクニックを愉しんだり、鑑賞したりできる身近な環境になってしまった。だが水越の写真の中では、あたかも古代人が目にしたり、肌で感じたりしていたような、人間世界とはかけ離れた荘厳な姿を露にしているのだ。

今回の水越武写真展「MY SENSE OF WONDER」は、前期の人間の生活圏を「水の音」、後期の人間界から隔絶した世界を「光の音」とした2部構成で開催される。むしろ興味深いのは、いつもの彼の写真世界が展開される「人間界から隔絶した世界」ではなく、「人間の生活圏」の写真群の方だろう。たしかに、そこには尾瀬のナガバノモウセンゴケ、上高地の高山植物、知床半島のラウスコンブなど、やや親しみやすい眺めを見ることができる。とはいえ、あの凛とした、緊張感漂う画面構成にはいささかの弛みもない。ここでも、自然は人間にはコントロール不可能な、圧倒的な存在感を発して写っているのだ。

そのような自然のあり方を、敬意を持って受けとめ、そっと画像に移し替えていく行為の集積こそが、水越にとっての写真の営みなのだろう。そこでは常に自らの「SENSE OF WONDER」(驚異の感覚)に磨きをかけ、新鮮で鋭敏な感受性を保つことが必要になる。水越がそうやって鍛え上げてきた、「MY SENSE OF WONDER」の産物というべき写真の数々を、じっくりと味わってみたい。