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2016/10/11(火) - 2016/11/05(土)

矢口清貴写真展「パイパティローマ 波照間の南ー楽土へ」

終了しました
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矢口清貴の写真を見ていると、沖縄や八重山の土地そのものから立ち上がってくる、そんな「彼岸、楽土」ヘの憧れと希求の思いが、たしかに伝わってくるように感じる

-- 飯沢 耕太郎(写真評論家)「「パイパティローマ」の気配」より

 

日本最南端の波照間島の人々がかつて重税を苦に逃避したという幻の楽園、「パイパティローマ(南波照間島)」を探し求めて旅をする気鋭の写真家、矢口清貴さんのオリジナルプリントを、10.11-11.5の約一ヶ月にわたり、展示販売いたします。

私たちの中に眠る南への志向性を表現した前期展示“Invisible things”(10.11 – 10.22)20点と、東シナ海に浮かぶ沖縄〜八重山〜台湾〜ルソン島で捉えた、幻の「南波照間島」の面影を写した後期展示“Visions of island”(10.25 – 11.5)20点で構成します。

八重山で撮影された矢口さんの前作 写真集『マブイ-魂は廻る』(窓社)からオリジナルプリント20点も、会期中通して展示します。
本展に推薦文を寄せていただいた写真評論家の飯沢耕太郎さんや、写真家の尾仲浩二さんをお招きしてのトークイベントも開催します。

 

人が南を求めるとき、それはネバーランドに憧れる少年の夢であり、“ANY WHERE OUT OF THE WORLD”(ここではない何処か)、つまり彼岸(死の世界)を希求するという人間の普遍的な欲求でもあるような気がします。

矢口さんの写真には、太平洋に抱かれて漂っているような気持ち良さがある一方で、そんな私たちの原始の部分をふっと思い出させてくれるような、何かが潜んでいます。そんな空気を感じに、ぜひ会場へいらしてください。

みなさまのお越しをこころよりお待ちしております。

 

開催概要

矢口 清貴 写真展「パイパティローマ 波照間の南ー楽土へ」

 

◉会期

2016年 10月 11日(火)〜  11月 5日(土)

前期 10.11 – 10.22  Invisible things
後期 10.25 – 11.5   Visions of island

通し展示 「マブイー魂はめぐる」

火-金 12時〜19時 / 土12時〜17時

日・月・祝 定休日

入場無料

 

◉会場

コミュニケーションギャラリーふげん社

〒104-0045 東京都中央区築地1-8-4 築地ガーデンビル 2F

TEL:03-6264-3665

Mail:info@fugensha.jp

「パイパティローマ」の気配

飯沢耕太郎(写真評論家)

「パイパティローマ(南波照間島)」、何と魅力的な響きだろう。日本最南端の波照間島の、さらに南に位置するという幻の島。矢口清貴の写真を見ていると、沖縄や八重山の土地そのものから立ち上がってくる、そんな「彼岸、楽土」ヘの憧れと希求の思いが、たしかに伝わってくるように感じる。それは、住人たちの表情や身振りにあらわれているだけではなく、南島の光や風、空に浮かぶ雲や打ち寄せる波、生命力あふれる植物たちにもあまねく宿っている。それだけではない。国境を越えて、台湾やフィリピンでも「パイパティローマ」の存在を身近に感じとることができるかもしれない。

矢口の写真は、いうまでもなく、日本人と日本文化の起源を求めて沖縄から東南アジアに旅した、東松照明の『太陽の鉛筆』(1975年)を引き継ぐものだ。だが、若い矢口のアプローチは、東松よりもっと柔軟であり、ある意味では気ままで官能的だ。今は、まだこれでいいだろう。若さが苦みに変わってくる時期が来れば、彼の「パイパティローマ」も、少しずつ変貌していくはずだ。南島に色濃く漂う気配や予感を、全身をアンテナにして感知することができる、そんな時期が少しでも長く続くといいと思う。

関連イベント

いずれのイベントもご予約をお願いいたします。

電話とメールで承っております。

ご予約の際は「代表者のお名前、参加人数、当日のご連絡先(電話番号)」をご連絡ください。

TEL:03-6264-3665  Mail:info@fugensha.jp

 

◉トーク 尾仲浩二(写真家)× 矢口清貴

国内外でご活躍されている旅する写真家の尾仲浩二さんと、尾仲さんが主宰する「街道塾」「街道マガジン」に参加する矢口清貴さんの、師弟トークが実現しました。
矢口さんの写真を一番近くで見ている尾仲さんから、どんな言葉が聞けるでしょうか。どうぞお楽しみに!

日時:10月22日(土)18時〜

参加費:1,500円(ドリンク付、要予約)+特製パンフレット付

尾仲浩二(おなか・こうじ) プロフィール

1960 福岡県直方市生まれ
68 千葉県君津市に移転
82 東京写真専門学校(現・東京ビジュアルアーツ)卒業 以後フリー
イメージショップ『CAMP』に参加 東京・新宿
84 『CAMP』解散
88 ギャラリー『街道』開設 東京・新宿
92 『街道』閉鎖
93 『03FOTOS』にて活動2001年まで 東京・渋谷
2002 『photographers’ gallery』に参加 2003年まで 東京・新宿
07 ギャラリー『街道』再開 東京・阿佐ヶ谷  2014年11月閉廊

15   同人誌「街道マガジン」創刊

16   ギャラリー『街道』中野で再開

◉トーク 飯沢耕太郎(写真評論家)× 矢口清貴

写真展「パイパティローマ」に推薦文を寄せてくださった写真評論家の飯沢耕太郎さんと、矢口清貴さんのギャラリートークです。 沖縄に魅了された写真家の系譜を辿りつつ、矢口さんの作品を鑑賞しながら思い思いに語っていただきます。

日時:10月28日(金)19時〜

参加費:1,500円(ドリンク付、要予約)+特製パンフレット付

飯沢耕太郎(写真評論家) プロフィール
1954年宮城県生まれ、現在東京都在住。1977年、日本大学芸術学部写真学科卒業。1984年、筑波大学大学院芸術学研究科博士課程修了。主な著書に『写真美術館へようこそ』(講談社現代新書、1996年)、『デジグラフィ』(中央公論新社、2004年)、『写真的思考』(河出ブックス、2009年)、『深読み!日本写真の超名作100』(パイインターナショナル、2012年)などがある。

販売物

①オリジナルプリント(カラー・モノクロ共)

エディション20
11×11インチ:20,000円(プリントのみ、税別
ご注文後にプリントして納品します。

額装費は別途10,000円を頂戴いたします。

14インチのニールセンフレームと、ブックマットの仕様となります。

②特製パンフレット(限定300部)

「パイパティローマ」前期後期の展示を網羅した、オリジナルパンフレットを制作しました。飯沢耕太郎さんが当展に寄せてくださった推薦文(全文)も収録されています。限定300部発行です。ご来場の記念にぜひお求めください。

③写真集

■写真集マブイ(通常版)

A4変形版 (256ミリ×256ミリ) 総頁60頁/上製/モノクロ
2800円(税別)→2,520円(税別)

 

■写真集マブイ特装版(66冊限定)

写真集+8インチプリント+専用函付

12,000円(税別)→10,800円(税別)

http://besumablue.exblog.jp/22677889/

 

マブイとは“魂”のことをいう。 西表島、石垣島など八重山諸島に魅了された 気鋭の写真家がついに捉えた美しくも不思議な世界。 これまでの写真集には見られない沖縄がここにある! 生と死が濃密に混ざり合う中で、この世界の表面に見えているものより、眼に見えない世界の方がどれくらい大きいのだろうと想う。果ての島々において、世界の成り立ちがプリミティブであればあるほど、際立ってくるものがある。普段意識することがないだけで、この世のいたる所に“向こう側”は口を開けている。静まり返った水面に映る森、来訪神が振り蒔く豊穣の鱗粉、紙銭から立ち上る炎のゆらめき・・・こちら側(この世)から、ぽっかり開いた窓の外には、向こう側(あの世)が広がる。それに触れるたび、自分の心が透くような感覚が訪れる。寂しいとも空しいとも違うその感覚、その根となるものを追い求めた。(本分収録テキストより)

矢口 清貴 プロフィール

1978年兵庫県生まれ、東京在住。

明治大学理工学部建築学科卒。一級建築士。

主に八重山を舞台に、眼には見えない世界、此岸と彼岸、人々の営みを追い続けている。

現在都市再開発に関するテーマに取り組む。

2008年 アサヒカメラ2009年1月号フロントグラビアにて

「魂は廻る-マブイハメグル」発表。

2009年 新宿・大阪ニコンサロンにて個展「魂は廻る-

マブイハメグル」開催。

第10回上野彦馬賞州産業大学フォトコンテスト

にて日本写真芸術学会奨励賞受賞。

2010年 デザイン誌 +81主催「 Tokyo Graphic Passport

2010 」にて My Favorite Artist賞受賞。

沖縄県・波照間島仲底商店galleryにて杮落し個展

「パティローマ」開催。

2011年 雑誌正論にて八重山の“暮らし”(2月号)、“まつり”

(3月号)、“自然”(4月号)連載。

2013年 大阪Gallery Limelightにて個展「アイヅ」開催。

2014年 窓社より初写真集「 マブイ 魂は廻る 」出版。

日本カメラ2014年8月号口絵グラビアページにて

「パイパティローマ」発表。