2020/12/03(木) - 2021/01/31(日) ディスカバリーシリーズvol.1写真展「今井壽惠の世界」 終了しました Exhibition ©Hisae Imai 「オフェリアその後」(1960) ©Hisae Imai 名馬の肖像より「メジロマックイーン 優雅に立つ」(1993) このたび、2020年12月3日(木)から今井壽惠写真展 第一部 初期前衛作品「魂の詩1956-1974」(2020年12月3日〜27日)と第二部 「生命(いのち)の輝き-名馬を追って」(2021年1月7日〜31日)をコミュニケーションギャラリーふげん社にて開催いたします。 今井壽惠(いまい・ひさえ)は1931年に東京・東中野「今井写真館」の長女として生まれます。父・康道は銀座松屋写真部長を務めていました。1952年文化学院美術科を卒業。1956年に初個展「白昼夢」(銀座・松島ギャラリー)を開催しました。ジャン・コクトーに強い影響を受けていた今井は、写真という装置を用いて、心象風景的、文学的な自由な世界を繊細に作り出しました。リアリズム写真の時代にあって、その前衛的な作品に対して当時は批判の声もありましたが、一躍話題の新人女流写真家として注目され、同世代の写真家集団「VIVO」らの活動とともに写真界に新しい風を吹き込みました。 その後も、「ロバと王様とわたし」(1959年日本写真批評家協会新人賞)や「オフェリアその後」(1960年カメラ芸術・芸術賞)などの詩的な写真作品を発表し高い評価を受け、コマーシャルの仕事に多忙な日々を送っていた矢先、1962年に交通事故に遭い、一命は取り留めたものの、一年半もの間視力を失ってしまいます。視力回復後に見た映画「アラビアのロレンス」に登場する生命力溢れる馬の姿を見て深く感動したことをきっかけに、馬へ関心を持ちはじめます。親交があった寺山修司に競馬の世界に導かれ、1970年にイギリスで名馬「ニジンスキー」と出会い、人間以上の気品と細やかな情感を持つ、馬の精神性の高さに衝撃を受けます。それ以降、世界中の牧場や競馬場でシャッターを切り、競走馬の血統を追い、やがて名馬を見分ける目を持つまでに至ります。馬に深い愛情を傾け、心を通わせた今井にしか撮れない、単なる生態記録を超えた、馬の個性や特徴を引き出した写真で、馬写真の第一人者と国内外で認められていきます。 本展では、清里フォトアートミュージアム収蔵のオリジナルプリント55点を、第一部と第二部に分け、展示いたします。また、第二部ではプリント販売も行います。 第一部(2020/12/3(木)-12/27(日))は初期前衛作品「魂の詩 1956-1974」と題し、鮮烈なデビュー作「白昼夢」(1956)をはじめ、受賞作「ロバと王様とわたし」「オフェリアその後」や、詩的な作品から馬作品への移行時期に撮影された「ENERGY」など、作家の内面から湧き出る純粋な感性で描かれた24点を展示します。 第二部(2021/1/7 (木)-1/31(日))は「生命(いのち)の輝き-名馬を追って」と題し、今井壽惠を魅了した名競走馬たちを格調高く捉えた「名馬の肖像」シリーズと、光あふれる牧場をのびのびとかける馬を詩情豊かに捉えた「ガラス絵の牧場」シリーズから31点を展示します。 写真を通じて文学や詩の世界に戯れた初期の実験的な表現、また、生死の境を彷徨った交通事故以降、「生命の証」を求めてライフワークとなった馬の生命力溢れる瑞々しい作品は、いずれも試作をし続けるエネルギーと絶え間ない好奇心を感じさせます。今なお新しく、輝きを放つ今井壽惠作品をどうぞご高覧ください。 第一部(2020/12/3(木)-12/27(日))初期前衛作品「魂の詩 1956-1974」 © Hisae Imai 「白昼夢―風A(k1)」(1956) © Hisae Imai 「オフェリアその後」(1960) © Hisae Imai 「ENERGY」(1964-74) 第二部(2021/1/7 (木)-1/31(日))「生命(いのち)の輝き-名馬を追って」 © Hisae Imai 名馬の肖像より「サンデーサイレンス 自我」(1998) © Hisae Imai 名馬の肖像より「ヌレエフ 孤高 ウォルマック・インターナショナル」(1988) © Hisae Imai 名馬の肖像より「ニジンスキー 英ダービー優勝余韻」(1970) © Hisae Imai ガラス絵の牧場より「水しぶきをあげて」(1974) ■開催概要 今井壽惠の世界 第一部 初期前衛作品「魂の詩1956-1974」2020/12/3(木)-12/27(日) 第二部 「生命(いのち)の輝き-名馬を追って」:2021/1/7 (木)-1/31(日) 火〜金 12:00〜19:00 土・日 12:00〜18:00 1月22日(金)ナイトギャラリー 12:00〜20:00 ※12月25日(金)は18:00でクローズします。 休廊:月曜日、祝日 会場:コミュニケーションギャラリーふげん社 〒153-0064 東京都目黒区下目黒5-3-12 TEL:03-6264-3665 MAIL:info@fugensha.jp https://fugensha.jp アクセス: JR目黒駅 西口より東急バス(黒01 黒02 黒07)「元競馬場前」下車 徒歩1分 東横線 祐天寺駅より東急バス(黒06)「元競馬場前」下車 徒歩1分 東横線 中目黒駅より東急バス(黒09)「大鳥神社前」下車 徒歩6分 JR目黒駅より徒歩15分 協力:清里フォトアートミュージアム ■イベント 《第一部》 レクチャー「幻想と現実の狭間でーー1950〜60年代の女性写真家」 講師:飯沢耕太郎(写真評論家) 日程:12月19日(土)14:00〜 参加費: 1000円(ご予約制) 近年、戦後に活躍した女性写真家を再評価する動きが高まっています。写真評論家・飯沢耕太郎さんを講師にお招きして、今井壽惠と同時代に活躍した岡上淑子、山沢栄子、常盤とよ子、清宮由美子の仕事を概観するとともに、今井作品の魅力を解き明かします。 ご予約先→MAIL event@fugensha.jp TEL 03-6264-3665 ※清里フォトアートミュージアム制作の今井壽惠関連図録を先着20名の方に進呈いたします。 ※同時ライブ配信あり 詳細はこちら 《第二部》 後日、こちらで発表致します。 ■FUGENSHA magazine 創刊(2020年12月19日 発売予定) FUGENSHA magazine No.0 今井壽惠の世界 ふげん社の活動を、雑誌を通じて発信する新たな媒体 FUGENSHA magazineがスタートします。 創刊0号ではディスカバリー・シリーズの第一回として展覧会を構成する、写真家・今井壽惠の知られざる世界を特集。展示作品を全55点収録。写真家たちの現在に着目し、2020年6月に開催した「コロナの春」を誌上再録します。 編集 池谷修一 デザイン 宮添浩司 発行所 ふげん社(2020.12.21発行) 1800円(税別) ★ご購入はこちら 12月19日(土)よりふげん社でご購入できます。 ■作家プロフィール ©︎Eikoh Hosoe「今井寿恵 第69回日本ダービー・パドックにて」(2002) 今井壽惠 Hisae Imai 1931年7月19日、東京・東中野駅近くの「今井写真館」の長女として生まれる。父・康道は銀座松屋写真部を経営していた。 1952年 文化学院美術科卒業。 1956年 第一回個展「白昼夢」を銀座・松島ギャラリー開き、一躍話題の新人女流写真家として注目される。 1959年 「ロバと王様とわたし」など一連の<フォトポエム>作品に対して、日本写真批評家協会新人賞を受賞。 1960年 「オフェリアその後」でカメラ芸術・芸術賞を受賞。 1961年 杉並区高円寺にスタジオを設け、雑誌『ハイ・ファッション』『装苑』『婦人画報』などファッション写真の仕事を多く手がける。 1962年 福島辰夫「NON」展へ出品。(他の出展者は石元泰博、東松照明、川田喜久治、丹野章、中村正也、奈良原一高、佐藤章、早崎治) 同年、タクシー乗車中の衝突事故により、一命はとりとめたものの、一年半視力を失う。 1963年 7回目の個展を開催し、写真家として再起する。視力回復後、始めた見た映画「アラビアのロレンス」で、躍動感溢れる馬の姿に深く感動する。 1969年 作品「春の妖精」が、タイムライフ社が選んだ世界の写真家の偉大なるプリントメーカー(GREAT PRINT MAKERS OF TODAY)20人に日本人からただひとり選ばれる。 1970年 初めてヨーロッパへ馬を主体とした撮影旅行へ出る。そこでイギリスのエプソム競馬場で英ダービー馬ニジンスキーと出会い、馬が非常に心理的な動物であることに驚かされる。以降競走馬の撮影に興味を持ち、その血統を追い、父親や産駒を追い始める。 1971年 季刊『ENERGY』(エッソ・スタンダード石油広報誌)表紙のために撮影したシリーズ及び日本の風景が Society of Publication Designers 1971 Annual Award Show(米)銀賞を受賞。同年、馬の写真で初めての個展「馬に旅して」を新宿。ニコンサロンで開催。 1975年 高島屋大阪店で馬の写真による本格的な個展を開催。大成功を収める。 1977年 ブリュッセル、パリで「魅惑的な馬の世界」展を開催。同時に初の写真集『通りすぎるときー馬の世界を詩うー』(駸駸堂出版)を出版。 1978年 『通りすぎるときー馬の世界を詩うー』に対して日本写真協会年度賞を受賞する。 1980年 国内外の牧場で撮影した作品を収録した『ザ・サラブレット』(東出版)を出版。 1984年 株式会社ニューマーケットを設立。 1985年 シンボリルドルフの取材を三歳から始め、日本初、無敗の三冠馬の誕生を含めて撮影を行い『勝つことに憑かれた名馬 シンボリルドルフ』(角川書店)を出版。 1994年 シンボリルドルフの子、トウカイテイオーを仔馬の頃から撮影を始め、『夢を駆けるトウカイテイオー』(角川書店)を出版。 1995年 JRA競馬学校在学中より注目していた騎手・武豊の活躍を捉えた写真集『武豊 1000勝』(角川書店)を出版。 1999年 写真集『CHAMPION/Taiki Shuttle』(ニューマーケット)を出版。 2009年2月17日、77歳、自宅にて逝去。 2010年 2009年度JRA賞馬時文化賞功労賞が贈られる。 コレクション 日本大学、ニューヨーク近代美術館、ジョージ・イーストマンハウス国際写真美術館、パリ国立図書館、ハンブルグ装飾美術館、川崎市市民ミュージアム、東京都写真美術館、清里フォトアートミュージアム 参考文献:今井寿恵「馬に魅せられてー40年の軌跡」(2002年、清里フォトアートミュージアム) ■コロナウィルスの感染予防対策について 当館では会場の衛生管理に細心の注意を払い営業しております。 会場内の換気や、不特定多数が接触する場所(階段の手すり、ドアノブ、スイッチなど)のアルコール消毒をおこないます。 お客様には下記の点をご協力下さいますようお願い申し上げます。 ・発熱や風邪症状、体調に不安がある方はご来店をお控えください。 ・入口で消毒液での手指消毒をお願いいたします。 ・咳エチケットにご協力をお願いいたします。