2019/09/10(火) - 2019/09/28(土) 新納翔 写真展ヘリサイド 終了しました Exhibition ©Sho Niiro このたび、新納翔写真展「ヘリサイド」を、2019年9月10日(火)〜9月28日(土)まで東京都中央区築地にあるコミュニケーションギャラリーふげん社にて開催します。 新納翔は1982年生まれの写真家で、消えゆく都市風景の記録をテーマに、東京を拠点に活動しています。 新納のライフワークともいえる「道脈」シリーズでは、新納が生まれ育った横浜から品川まで、国道1号線(第二京浜)と国道15号線(第一京浜)沿いに、変わりゆく景色を撮影しています。 本展では、「道脈」シリーズの延長に位置付けられる、都市の縁(ヘリ)部分といえる臨海部をパノラマカメラで撮影した新作「ヘリサイド」から約20点を展示いたします。 「ヘリサイド」シリーズを始めたきっかけとして、レンズスイング式パノラマカメラ「WIDELUX」との出会いが大きいと作家は言います。 湾岸産業道路、大井埠頭、羽田空港などがある京浜工業地帯=「ヘリ」は、都心部の時間軸から切り離されたかのように独特の空気が漂っています。「WIDELUX」での撮影時に生じる画面全体の歪みが、異界の印象を一層際立たせています。 2020年に迎える東京五輪に向けて都市部の開発が進む一方、「ヘリサイド」は聖域のように、過去でも未来でもない風景として、そこに存在しています。新納は、都心の時間軸から切り離され、こぼれおちた景色こそが東京を象徴しているのではないか、と問題を提起しています。 長年東京を撮影してきた作家による撮り下ろしの東京風景を、この機会にご高覧ください。 ©Sho Niiro ©Sho Niiro ■開催概要 新納翔 写真展 ヘリサイド 会期:2019年9月10日(火)~9月28日(土) 火〜金 12:00〜19:00 土 12:00〜17:00 休廊日:日・月 会場:コミュニケーションギャラリーふげん社 〒104-0045 東京都中央区築地1-8-4 築地ガーデンビル 2F TEL:03-6264-3665 MAIL:info@fugensha.jp https://fugensha.jp ■イベント 9月14日(土)17:30〜19:00 ギャラリートーク 鳥原学(写真評論家)×新納 翔(参加費1,500円) 同日19:00〜20:30 レセプションパーティ ※詳細は下記にございます ■作家ステートメント 戦後復興期にとてつもない速さで東京という街が形成された時以来、また東京は目まぐるしく変化している。 かつて築き上げられたものが寿命を迎え、 令和の今、ビルドアンドスクラップの嵐に包まれている。 その破壊と再生のエネルギーは中心部からヘリである湾岸部に向かって徐々に減衰していく。 湾岸産業道路、大井埠頭、羽田空港などがある京浜工業地帯沿いに連なるヘリの景色は、 かすかに残る平成東京の残像である。このエリアがどこか異様な雰囲気に包まれているのは時代の軸から切り離され、 異次元の世界に漂っているからだ。 ヘリの景色は、 これから迎える未来の東京と過去との境界線でもある。ここに来ると、 現在でも過去でも未来でもない時間に行くことができる。 都心にいて感じる曖昧さの核がヘリにある。 都心から円状に広がったエネルギーとヘリがぶつかり合う場所はパノラマが合う。 どこか、 世間の狭間に落ちた自分はヘリにシンパシーを感じるのだ。 新納 翔 ■作家プロフィール 新納 翔 Sho Niiro 1982年横浜生まれ。麻布学園卒業、早稲田大学理工学部宇宙物理学専攻中退。 2000年に奈良原一高氏の作品に衝撃を受け、写真の道を志す。 以後、現在まで消えゆく都市をテーマに東京を拠点として写真家として活動をしている。 2007年から6年間山谷の簡易宿泊所の帳場で働きながら取材をし、その成果として日本で初めてクラウドファウンディングで写真集を上梓する。 2009年から2年間中藤毅彦氏が代表をつとめる新宿四ツ谷の自主ギャラリー「ニエプス」でメンバーとして活動。 2014年から2年間、築地市場を警備員として働きながら取材する。 川崎市市民ミュージアムでワークショップの講師経験を経て、2018年6月より「デジタルラボPapyrus」の管理人・講師としてデジタル写真技術を広く教える活動もおこなっている。 主な写真集に『山谷』(2011、Zen Foto Gallery)、『Another Side』(2012、リブロアルテ)、『Tsukiji Zero』(2015、ふげん社)『PEELING CITY』(2017、同)がある。 現在、新潮社電子書籍『yom yom』に写真都市論「東京デストロイ・マッピング」連載中。 ■関連イベント ギャラリートーク 鳥原学(写真評論家)×新納翔 写真評論家の鳥原学さんをお招きして、ギャラリートークを開催いたします。 鳥原さんは、「日本カメラ」誌上で2017年写真集ベスト5に新納翔写真集『PEELING CITY』(2017,ふげん社)を選出してくださいました。実は国道1号線沿いに住んでいたこともあるという鳥原さんが、新作「ヘリサイド」をどう読み解かれるのか、どうぞご期待ください。 トークの後はささやかなパーティを開催します。 日程:9月14日(土) トーク17:30〜19:00 終演後パーティ19:00〜21:00 参加費:1,500円 ※ご予約は電話とメールで承っております。 TEL:03-6264-3665 Mail:event@fugensha.jp ゲストプロフィール: 鳥原学 Manabu Torihara 写真評論家 テーマは日本におけるさまざまな写真環境の変遷を通して、社会の変化をさぐること。評論の執筆や雑誌への寄稿のほか、写真教育や展示の企画にも携わる。 1965年 大阪市生まれ 1988年 近畿大学商経学卒業 1991年 一般企業を経て株式会社写真弘社と契約。ギャラリーの開設と運営の任にあたる 2000年 フリーとなり、執筆など評論活動を始める 2001年 ワークショップ「imageBOX 東中野」に参画、プレゼンテーションゼミなど担当 2006年 日本写真芸術専門学校非常勤講師に 2016年 大邱フォトビエンナーレ(韓国)にキュレーターとして参加 2017年 同校主任教師 2019年 東京造形大学非常勤講師(担当:写真史) 主な著書に、『時代を写した写真家 100人の肖像(上・下)』(玄光社 2018年)、『写真のなかの「わたし」 ポートレイトの歴史を読む』(ちくまプリマ―新書 2016年)、『日本写真史(上・下)』(中公新書 2012年)など。 2017年日本写真協会賞学芸賞受賞。