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2024/05/03(金) - 2024/05/26(日)

野村恵子個展
「Naked Flowers」

  • Exhibition

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©️ Keiko Nomura

このたび、コミュニケーションギャラリーふげん社にて、2024年5月3日(金)から5月26日(日)まで、野村恵子個展「Naked Flowers」を開催します。

野村恵子は、兵庫県神戸市生まれの写真家で、2020年から沖縄を拠点として活動しています。大阪ビジュアルアーツ専門学校を卒業後に渡米し、LAやSanta Feで写真を学びました。1999年に初の写真集『DEEP SOUTH』(リトルモア)を発表して以降、女性のポートレートや、街、空、海、山などの風景を主な被写体に、自らの感覚や記憶や感情を刻みつけるように撮影した、エモーショナルな表現が高く評価されてきました。2019年には、信州・小谷村を舞台にした写真集『Otari-Pristine Peaks 山霊の庭』で林忠彦写真賞を受賞しました。

本展では、2021年から2023年まで、アーティスト・レジデンスで訪れたポーランドとスペイン、台湾で撮影したヌードポートレートを中心に、約30点展示いたします。

ポーランドには、二度滞在しており、2021年の最初のレジデンスではコロナ禍の影響が散見され、次に訪れた2022年には隣国のウクライナで戦争が始まり、避難民をいたるところで目にする時期でした。そのレジデンスの成果で写真集『Melody of Light』(BWA Wrocław)を出版しています。また2023年には、スペインの北東部で、イスラエルとバスクから来たアーティストたちと、大自然の中で寝食を共にしながら滞在制作をしました。パンデミックや戦争というカタストロフィが起こったこの数年に、海を越え、さまざまな地域で人々との交流を経験したことによって、野村は、それぞれの地における日常や人生があるという当たり前のことを再認識したといいます。野村の写真に写る、万物に等しく降り注ぐ太陽の光と、自然の中で衣服を身につけず動物のようにのびのびと振る舞う人間たちの姿は、あらゆる争いを生じさせる国境という境界線や、人種や文化という隔たりを矮小なものに感じさせます。また、被写体の身も心も解き放つ、野村の写真家として、人間としての度量を感じさせると同時に、写真を通したコミュニケーションの喜びを素直に思い出させてくれる作品でもあります。ぜひ、ありのままのあなたで、野村恵子の写真と対峙していただけたら幸いです。

本展に合わせて、スペインで撮影した作品をまとめた大判ZINE『Naked Flowers』(私家版)を発売いたします。

©️ Keiko Nomura

©️ Keiko Nomura

■開催概要

野村恵子個展「Naked Flowers」

会期:2024年5月3日(金) 〜5月26日(日)

火〜金 12:00〜19:00
土・日 12:00〜18:00
休廊:月曜日

会場:コミュニケーションギャラリーふげん社
〒153-0064 東京都目黒区下目黒5-3-12
TEL:03-6264-3665 MAIL:info@fugensha.jp
https://fugensha.jp

 

■イベント

①5月3日(金・祝)15:00〜17:00
オープニング・レセプション(ご自由にご参加ください)

詳細はこちら

②5月25日(土)14:00〜15:30
ギャラリートーク 野村恵子×佐藤正子(展覧会企画制作)

詳細はこちら

チケットは、オンラインストアからご購入ください。
https://fugensha-shop.stores.jp/

※オンラインストアからのご購入が難しい場合は、ふげん社(03-6264-3665)までご連絡ください。
※配信チケットのアーカイブ視聴可能期間は2024年6月30日(日)まで

■写真集概要

野村恵子『Naked Flowers』

写真家・野村恵子のブック・レーベルThomas Pressより初の作品集
2023年スペインのアラゴン州に滞在し、そこにあった佳景と共に暮した仲間との日々を日記に綴るように愛おしい瞬間が撮影された写真群。グラフィックデザインにより内包された力ある光と色彩の写真で、NAKEDFLOWER/裸花が大胆に美しく散りばめられた作品集です。タブロイドを開くような仕様は、ポスターとしても楽しんでいただけます。

アートディレクション:野田峰子
判型:A3
総頁:32頁(16枚)
製本:綴なし
☆特製ステッカー付☆

価格:2,600円+税

ご注文はこちら

■アーティスト・ステートメント

カメラを向けたとき
“My body is yours.”
あなたはそういって微笑んだ。
森を彷徨って出逢う野の花のように
眼の前に突然に舞い降りた鳥のように
少しだけとまどいながら、わたしはあなたを深く見つめていた

陽の光を受けて、輝くあなたの皮膚
わたしたちの血潮の鼓動が触れ合うとき
すべてを受け入れて
In this moment
いまこの世界を、いますべてを愛している
写真という記憶の中で、限りのないイメージに解き放たれて
あなたはいつかあの日の永遠となる

 

2021年から2023年の昨年まで、ポーランドとスペイン、そして台湾と、海外のアーティスト・イン・レジデンスに参加する機会が続きました。

コロナ禍だった2020年に22年間、拠点としていた東京を離れて、沖縄に移住しました。いろいろな人生の荷物を手放して身軽になったところで、思いがけなくご縁をいただいて、異国の地での滞在制作の日々が、断続的に昨年まで続きました。

2021年に渡欧したポーランドでは、欧州パンデミック後の名残がまだあり、各国から来ていたレジデンスのア-ティスト達とも共通の話題として、それぞれの国の状況や気持ちなどをよく話し合いました。

翌年の2022年、二度目のポーランド滞在では隣国ウクライナから戦争避難民をいたるところで眼にしました。そして隣人の戦争について真摯に心を寄せているポーランドの人たちがいました。「いつの時代も不条理な状況で一般人がたいへんだけど、私たちはすべてを受け入れて前に進むしかないよ。」そういう現地の仲間と共に、「Melody of Light」という写真集を制作しました。

そして、2023年に参加したスペインの北東部のレジデンスでは、イスラエルとバスク、それぞれの国から来たア-ティスト達と、一つ屋根の下、寝食を共にする日々の中で撮影をしました。それは大自然の中で、まるで親密な家族のように過ごした濃厚な時間でした。そんな体験の中で感じたことを、ひとつの想いの中で表現したものが今回の作品です。

南欧、東欧、台湾、沖縄、日本。どの地においても、それぞれのあたりまえの日常と人生があり、それぞれのいまがありました。そして、人と人とが心を向き合わせて、偏見なく付き合うところに国境というborder はない、と改めて感じています。

写真を通して交流をし、それを皆様と共有できる機会をいただけたことに心から感謝します。

どうぞご自由にご高覧ください。

2024年 初夏

野村恵子

 

■プロフィール

野村恵子 Keiko Nomura

兵庫県神戸市生まれ。同志社女子大学英文科中退、大阪ビジュアルアーツ専門学校卒業。卒業後、渡米。LA, Santa Feのワ-クショップにて写真を学ぶ。ベトナムをテ-マにした初の展示で1997年に「コニカプラザ新しい写真家登場」年間グランプリを受賞。1999年に沖縄をテーマにした写真集『DEEP SOUTH』を発表。同名の写真展を渋谷パルコギャラリーにて開催。同作品にて、日本写真協会新人賞、2000年に東川賞新人作家賞を受賞。人物や風景から滲み出す濃密で切ない空気感、その独特の色彩感覚から力強く紡ぎ出された作品が高く評価された。俳優を撮り下ろした写真集や取材撮影に関わる本も多数出版されている。2019年、写真集『Otari-Pristine Peaks 山霊の庭』により、林忠彦写真賞を受賞。個展の開催は40回を超え、グル-プ展も国内外で多数参加。2022年ポ-ランドより写真集『Melody of Light』刊行。その他の写真集も多数刊行されている。現在、沖縄を拠点に活動中。2023年より非営利の写真教育団体「New Photographer’s Okinawa U-30」の代表も務めている。