2019/06/25(火) - 2019/07/13(土) 佐藤信太郎写真展 Geography 終了しました Exhibition ©SATO Shintaro English Follows. このたび、2019年6月25日(火)〜7月13日(土)まで、佐藤信太郎 写真展「Geography」をコミュニケーションギャラリーふげん社にて開催します。 佐藤信太郎は、1969年生まれの写真家で、東京の街をテーマに制作を続けています。90年代後半に繁華街を撮影したシリーズ「夜光」、非常階段という独自の視点から東京の夕景を撮影したシリーズ「非常階段東京」、そして東京スカイツリーの建設によって変わりゆく街の風景を捉えた「東京|天空樹 Risen in the East」などの作品で知られています。佐藤は、変わり続ける都市の表層を写しながらも、街そのもの骨格や根底に流れるダイナミズムを浮き彫りにするという一貫したテーマで制作し続けています。高度なデジタル技術で複数の画像をつなぎ合わせ、隅々までピントが合った佐藤の作品は、奥行きのない平面的な印象を受け、現代の浮世絵とも称されます。 「Geography」は、1992年の冬に東京湾岸の埋め立て地の地面を8×10の大型カメラで撮影したシリーズです。平面を平面のまま撮るというシンプルな手法で撮影された本作は、佐藤の原点ともいえるでしょう。距離感がつかめずミクロにもマクロにも見える可変的なイメージは、都市の深層に潜む静かな時間の流れや、東京の都市形成に大きく作用している地形の存在を感じさせます。本展では、アーカイバルピグメントプリント6点を展示いたします。 なお、同名の写真集をふげん社から刊行いたします。収録テキストは写真評論家の飯沢耕太郎さん、造本設計は町口覚さんです。 オリンピックが翌年に迫り、世界的な注目が集まる東京。技術の進歩でグローバル化とヴァーチャル化が進む中、足元にある地面を意識して歩くことが、どれくらいあるでしょうか。本展をとおして、東京という大都市の質量を体感していただければ幸いです。 ■開催概要 佐藤信太郎 写真展 Geography 2019年6月25日(火)〜7月13日(土) 火〜金 12:00〜19:00 土 12:00〜17:00 休廊日:日・月 会場:コミュニケーションギャラリーふげん社 〒104-0045 東京都中央区築地1-8-4 築地ガーデンビル 2F TEL:03-6264-3665 MAIL:info@fugensha.jp ●ギャラリートーク 飯沢耕太郎(写真評論家)×町口覚(グラフィックデザイナー、パブリッシャー)×佐藤信太郎 7月6日(土)14:00〜 参加費 2,000円※要予約 ※詳細は下部にございます。 ■ 新刊写真集 佐藤信太郎 写真集『 Geography 』 500部限定 エディション・サイン入り 執筆:飯沢耕太郎 造本設計:町口覚 判型:370×263(B4変形) 頁数:66頁 製本:ハードカバー 発行年:2019.06 出版社:ふげん社 言語:日本語、英語 エディション:500 価格:¥10,000(税別) 6月24日(月)までのご予約注文分と写真展会場では、¥9,000(税込)で販売いたします。 6月25日以降、順次発送いたします。 ご予約注文はこちら shashasha 写真集制作レポートはこちら ■作家ステートメント この写真は、私が1992年冬に撮影した自分の原点ともいえる作品だ。当時は写真の平面性にこだわっており、視線が奥へ行かない、紙の表面でストップしてしまうような写真を撮っていた。最初は都市を、望遠レンズを使って平面的に、遠近感がなくなる様に撮っていたが、最終的には平面をそのまま平面的に撮るという単純な方法に行き着いた。 撮影した場所は、東京湾岸の埋め立て地にある舗装していない巨大な空き地で、現在はショッピングモールが建っている。何もない所だったが、エメラルドグリーンに変色した水たまりには渡り鳥が集まっていて、砂利の中に卵を産んでいた。当時流行っていたニュー・トポグラフィクスの影響もあり、広大で空っぽな空間を撮影している時、その場所の一部に鉱物質な地面がある事に気づいた。金属的で所々が錆びており、石灰のような物質が表面に浮いているのがおもしろかった。細部を徹底して捉えるために、撮影には大型カメラ8×10を使用。フラットに光がまわる明るい曇りの日を選び、影が出ないようにした。そして、表現する要素を出来るだけ少なくすることで逆に様々なイメージが生まれる写真にしようと思った。この写真を見ていると作者でも距離感がよくわからなくなる。都市の下にある地面がそのまま、都市を上から見た衛星写真のようなイメージに変わる。埋立地の地面がどこかの惑星の表面のようにも見えてくる。遠近法を否定した、ただの平面が様々な距離やイメージの揺らぎを生み出している。 その後、主に東京をテーマに都市風景を撮影し続けているが、一見何の関係もないこの作品は、都市の底にある地形に対する関心、密度や細部に対するこだわりなど、現在の自分の作品にどこか繋がっているように感じている。 佐藤 信太郎 ■作家プロフィール 佐藤 信太郎 SATO Shintaro 1969年に東京に生まれる。1992年、東京綜合写真専門学校卒業。1995年に早稲田大学第一文学部を卒業し共同通信社に入社。2002年よりフリーの写真家として活動する。 「土地の持つ性格や歴史、人の営みと、そこから現れる特有の雰囲気(ゲニウス・ロキ、地霊)」をテーマに、生き物のように変貌する都市を捉えた独特の作品を発表している。 2012年に林忠彦賞、2009年に日本写真協会賞新人賞を受賞。『The origin of Tokyo』(P.G.I., 2019)、『The spirit of the place』(キヤノンギャラリーS, 2014)、『東京・TOKYO 日本の新進作家 vol.13』(東京都写真美術館, 2016)、など、国内外で個展、グループ展を多数開催。写真集に『非常階段東京 THE ORIGIN OF TOKYO』、『夜光』、『東京|天空樹 Risen in the East』、『非常階段東京 -TOKYO TWILIGHT ZONE-』(いずれも青幻舎)などがある。 http://sato-shintaro.com/ ■関連イベント トークショー飯沢耕太郎(写真評論家)×町口覚(グラフィックデザイナー、パブリッシャー)×佐藤信太郎 写真集『Geography』のテキストを執筆された写真評論家の飯沢耕太郎さんと、造本設計をしていただいた町口覚さんをゲストにお招きして、豪華三者対談をおこないます。ぜひ足をお運び下さい。 7月6日(土)トーク14:00〜15:30 終演後パーティ〜17:00 参加費:2,000円 ※イベントは予約制です。ご予約は電話とメールで承っております。 TEL:03-6264-3665 Mail:event@fugensha.jp 【ゲストプロフィール】 飯沢耕太郎 写真評論家。きのこ文学研究家。1954年、宮城県生まれ。1977年、日本大学芸術学部写真学科卒業。1984年、筑波大学大学院芸術学研究科博士課程修了。主な著書に『写真美術館へようこそ』(講談社現代新書1996)、『デジグラフィ』(中央公論新社 2004)、『きのこ文学大全』(平凡社新書 2008)、『写真的思考』(河出ブックス 2009)、『キーワードで読む現代日本写真』(フィルムアート社 2017)、『きのこ文学ワンダーランド』(DU BOOKS 2013)などがある。 町口覚 1971年東京都生まれ。デザイン事務所「マッチアンドカンパニー」主宰。森山大道、蜷川実花、大森克己、佐内正史、野村佐紀子、荒木経惟などの写真集をはじめ、映画・演劇・展覧会のグラフィックデザイン、文芸作品の装丁などを幅広く手掛け、常に表現者たちと徹底的に向き合い、独自の姿勢でものづくりに取り組んでいる。2005年、自ら写真集を出版・流通させることに挑戦するため、写真集レーベル「M」を立ち上げると同時に、写真集販売会社「bookshop M」を設立。2008年より世界最大級の写真の祭典「PARIS PHOTO」にも出展しつづけ、世界を視野に“日本の写真集の可能性”を追求している。2009年・2015年に造本装幀コンクール経済産業大臣賞、2014年東京TDC賞など国内外の受賞多数。 – – – – – – – – – – – – – – – – – – SATO Shintaro Geography June 25 – July 13 Open: Tue-Fri 12:00~19:00 Sat 12:00~17:00 Close:Sun・Mon Address: Communication gallery Fugensha Tsukiji Garden Building 2F, 1-8-4 Tsukiji, Chuo-ku, Tokyo, 104-0045 Tel : 03-6264-3665 email : info@fugensha.jp This series of photographs that I took during the winter of 1992 is the work that can be regarded as my starting point as a photographer. In those days, I was very particular about pursuing flatness in photography, and my aim was to take photographs that would prevent the viewer’s eyes from penetrating into the depths of the scene as if their eyesight would stop at the surface of paper. At the beginning, I photographed the cityscapes planarly with a telephoto lens so that they would lose their sense of distance or perspective. However, in the end, I settled on a simple way of photographing flat surfaces planarly just as they are. The place where I took these photographs was a huge unpaved vacant lot of reclaimed land near the coast of Tokyo Bay, where a shopping mall now stands. It was just an open place without anything, but migratory birds were gathered around puddles that changed to emerald green and were laying their eggs in the gravel. Under the influence of the New Topographics, which was trendy at the time, I noticed while I was photographing this huge empty space that there were minerals on the ground in some parts of the site. It was interesting for me that the ground was metallic and rusted in several areas and that a material resembling lime was floating on the surface. In order to thoroughly capture these details, I used a large 8×10 camera for shooting. I selected bright cloudy days when the light would spread out flatly in order to avoid the production of shadows. Moreover, I intended to produce photographs that generated various images by minimizing the elements expressed as much as possible. Looking at these photographs today, even their producer has come to lose his sense of distance. The ground below the city is transformed into something resembling a satellite image of the city seen from high above, while the ground of the reclaimed land begins to look like the surface of some other planet. By neglecting perspective, the mere flat plane generates a sense of various distances and image fluctuations. Since taking these photos, I have continued photographing cityscapes mainly on the theme of Tokyo, and I feel that this series, while apparently having no relation to that theme, remains somehow linked to my present works in terms of my interest in the topography underlying the city as well as my commitment to density and to details. SATO Shintaro New Book SATO Shintaro “Geography” Published by Fugensha Profile SATO Shintaro was born in Tokyo in 1969. He graduated from the Tokyo College of Photography in 1992. He joined Kyodo News as a staff photographer after graduating from the Faculty of Letters, Arts and Sciences at Waseda University in 1995, and he has worked as a freelance photographer since 2002. His work is themed around the distinctive atmosphere – or the “soul” – of Tokyo that is generated from the city’s history and the topography and character of the land itself. SATO received the Newcomer’s Award from the Photographic Society of Japan in 2009, and the Tadahiko Hayashi Award in 2012. His works have been shown at exhibitions in Japan and abroad, including The Origin of Tokyo (P.G.I., 2019), The Spirit of the Place (Canon Gallery S, 2014), and Tokyo Tokyo and TOKYO – Contemporary Japanese Photography vol.13 (Tokyo Photographic Art Museum, 2016). He is the author of several photography books, including The Origin of Tokyo (2019), Night Lights (2014), Risen in the East (2011), and Tokyo Twilight Zone (2008), published by Seigensha Art Publishing, Inc. http://sato-shintaro.com/