謹啓

2020 年は、コロナ禍の年として強く人々の記憶に残る年となりました。

みなさまには ご無事で年の瀬をお迎えのことと拝察いたします。

さて、東京・目黒を拠点とするふげん社の経営母体である渡邊美術印刷株式会社（本社・さいたま市）は、 私の父渡邊實が札幌で創業いたしましてから 今年で 70 周年を迎えることになりました。

その記念事業として、印刷の未来を寿ぐいくつかの試みを始めることにいたします。

ひとつは、飯沢耕太郎さん（写真評論家）と町口覚さん（造本家）を選考員に迎えてのふげん社写真賞の創設です。グランプリ一名には写真集出版とふげん社ギャラリーでの展示の権利を授与いたします。

ふたつ目は、未だ広く知られていない物故作家の展示を、ディスカバリー・シリーズとして定期的に開催することです。 その記念すべき第一回の展示がこの 12 月に始まりました「今井壽恵の世界」です。展示作家を現代に限ることなく、物故作家に広げるということは、過去の豊饒で真摯な作家活動の記録を皆様と共有し、確認しながらよりよい未来を創造していく力を得たいと願うからです。

そして三つ目は、ふげん社の活動を雑誌を通じて発信する新たな媒体「FUGENSHA magazine」の創刊です。元アサヒカメラの池谷修一さんを編集者に迎えて、年二回の刊行の予定です。

創業70年を迎えてもなお小さな資本の営みは不安定で、明日の形も定かではありません。コロナ禍の今、計画していたあれこれを実行に移すべきか否か少し悩みましたが

植えてみよ 花の育たぬ 里はなし 心からこそ 身は癒しけれ （良寛）

良寛さんの言葉を信じて、まずは 植えてみることにしました。

皆様のご支援をいただきながら、小さな歩みをひとつずつ重ねてまいりたいと思っております。

今後ともよろしくご指導、ご鞭撻のほどお願いいたします。

謹白

令和二年十二月吉日

渡邊美術印刷株式会社

代表取締役 渡邊 薫

関連リンク

◆ふげん社写真賞 第一回作品募集

https://www.fugensha-award.com/

◆ディスカバリーシリーズ vol.1「今井壽惠の世界」

ディスカバリーシリーズvol.1写真展「今井壽惠の世界」

◆FUGENSHA magazine No.0 今井壽惠の世界

https://fugensha-shop.stores.jp/items/5fd9c9008a45725bc99a39be