⑤パリ篇:Galerie Polaris-アーティストとの良い関係 Fumi Sekine 欧州三都市見聞録ディレクターの手記 2019.02.22 現地時間2月11日12:36の投稿 本日2月11日は、三つ目の都市、ロンドンへの移動日です。ユーロスターで田園風景が広がるフランスの北部地方を通り、ロンドン海峡を渡っています。 すこし時を遡りましょう。 7日午前の写真家ジャクリーヌさんとの出会いのあと、ギャラリーの多い閑静な地区にある老舗ギャラリー「Galerie polaris」のオーナーBernard Utudjianさんとお会いしました。 これも私たちにとって素晴らしい出会いの一つでした。 Galerie polarisは、コンテンポラリーのドローイング、写真、ビデオ、彫刻、インスタレーションなどを取り扱っています。Paris Photoが始まった90年代から今までずっと参加しているギャラリーでもあります。 Polarisが取り扱う作家の多くは海外の美術館などに招かれるような人気作家ですが、Polarisはそのアーティストたちが若手だったころに最初に取り上げて展示したギャラリーです。若手作家のころからアーティストをサポートし長年にわたって付き合っているのです。アーティストの成長とともにギャラリーも歩んでいく。その関係の築き方はとても憧れます。 私たちがUtudjianさんに日本からアートシーンを見学し勉強しにきたと伝えると、フランスの現代アートについて、ParisPhotoの現状について、赤裸々に語ってくださいました。 Utudjianさんは、ギャラリーに足を運んでもらい作品を見てもらうことを第一に考えているのですが、ParisPhotoなどの巨大フェアーに来るお客さんは、なかなかギャラリーにまで足を運ぶことはありせん。近年はフェアーの来場客が多すぎて「あとでまた来ます」と言った客が自分のブースに戻ってこないなど通り過ぎていくだけの客が増え、高額な出展料を払ってまで参加することの意義が見えなくなったと話していました。 今年初めてParisPhotoに参加しないことを決めたそうです。 ふげん社は印刷会社が運営するギャラリーでもあり出版社でもあり、これからどの道に進んでいるか模索していると伝えたところ、「あなた方はジョーカーを持っている」「出版社であるというのは大きな強みで、それはギャラリーとしてやっていくより可能性が開ける場合が多い」とのこと。 ParisPhotoというのは私たちにとって夢の場所であり、どこか霧のようにつかめない曖昧なものでしたが、Utudjianさんが教えてくださったことでその輪郭が少しずつ見えてきた気がします。とくに、気づいていなかった自分たちのstrong point を教えてくださったことは、とてもありがたいことでした。 パリのアートシーンでは日本からの訪問客はバブル崩壊以降ほとんど見えなくなったそうです。だからこそ、私たちの訪問は彼にとってとても新鮮にうつったようです。 日本のアーティストやギャラリストやパブリッシャーは今こそ海外に出ていくべきかもしれない、と思いました。 最後に、私たちがParisのあとLondonへ行くことをUtudjianさんに伝えたところ、ロンドンのアートセンターで働くオーガナイザーを紹介してくれて、後日会うことになりました。 人と人とのつながりが、この旅を助けてくれていることに深く感謝します。 Parisでの濃い日々のレポートが追いついていないので、、これからスピードアップします!