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2021/11/04(木) - 2021/11/21(日)

『森の天界図像 わがイコン 胞子紋 渡辺隆次きのこ画文集』刊行記念
渡辺隆次 胞子紋の世界展

終了しました
  • Exhibition

「虫送り」(2012年 冬〜春) 胞子紋・ガッシュ・アクリルガッシュ/紙 44.0×25.6cm(フィリア美術館蔵) © Ryuji Watanabe

このたび2021年11月4日(木)から11月21日(日)まで「渡辺隆次 胞子紋の世界展」を、コミュニケーションギャラリーふげん社にて開催いたします。

本展は、渡辺隆次の胞子紋画とエッセイを収録した画文集『森の天界図像 わがイコン 胞子紋 渡辺隆次きのこ画文集』(大日本絵画、2021)の刊行を記念した展覧会です。今年5月に砂丘館(新潟)、9月にフィリア美術館(山梨)、そしてふげん社へと巡回します。本展では、フィリア美術館、作家所蔵の作品を合わせて30点展示、一部を販売いたします。

渡辺隆次は1939年、東京・八王子生まれの画家です。武蔵野美術学校(現 武蔵野美術大学)本科・西洋画を卒業し、東京学芸大養護科修了。1966年、青木画廊で初個展を開催します。転機は1977年、「絵と死を天秤にかけ」た結果、都市生活に見切りをつけ、八ヶ岳山麓(北杜市)に移り住み、現在まで制作を続けています。

山村への転居がきっかけとなり、キノコを「無視するわけにはいかなかった」渡辺は、キノコの群生する林へと日参するようになります。採集したキノコを黒い食卓の上に一晩置き放した翌朝、傘裏から白い胞子が舞い落ち、フェアリーリングのような美しい文様を形作っている光景に出くわします。それが渡辺の胞子紋との出会いでした。

キノコ自らが描き出す不思議な文様から、霊的なメッセージを感じた渡辺は、胞子紋を「わがイコン(聖画)」と呼び、それに応答するかのように絵筆を加え、「胞子紋画」を制作し始めます。やがて胞子紋画は渡辺の創作の主軸となっていきました。

動物・植物・菌類は生物界の三本柱であり、きのこを含む菌類は、植物や動物(有機物)を再び無機物にまで分解する重要な役割を担います。胞子紋画は、自身の能力や意識から離れ、生と死のあわいで活動する菌類がもたらす偶然の産物を借りて制作されます。「諦念を受容する覚悟のような “祈り”」のような作業を続けてきた渡辺隆次の世界を、ご堪能ください。

最終日11月21日(日)には、画文集『森の天界図像 わがイコン 胞子紋 渡辺隆次きのこ画文集』へ寄稿された、きのこ文学研究家の飯沢耕太郎さんをゲストにお招きして、渡辺隆次さんとギャラリートークを開催いたします。

「貼雑屏風」エッセイ『きのこの絵本』(ちくま文庫 1990年) の創画(スケッチ)をもとに(2012-未完) 二曲三隻の一部、各146.8×97.8cm © Ryuji Watanabe

 

大寒・夜の庭―胞子紋(2012年1~3月) 胞子紋・ガッシュ、紙 38.0×33.0cm フィリア美術館蔵 © Ryuji Watanabe

 

「わがイコン-7」(2020年)
胞子紋・ミクストメディア・コラージュ/紙
25.0×19.0cm
© Ryuji Watanabe

 

■開催概要

『森の天界図像 わがイコン 胞子紋 渡辺隆次きのこ画文集』刊行記念

渡辺隆次 胞子紋の世界展

2021年11月4日(木)〜11月21日(日)

火〜金 12:00〜19:00

土・日 12:00〜18:00

休廊:月曜日

会場:コミュニケーションギャラリーふげん社

〒153-0064 東京都目黒区下目黒5-3-12

TEL:03-6264-3665 MAIL:info@fugensha.jp

https://fugensha.jp

協力 : 渡辺隆次画文集刊行委員会、フィリア美術館、砂丘館、新潟絵屋

 

イベント:

11月21日(日)14:00〜15:30

ギャラリートーク 渡辺隆次 × 飯沢耕太郎(きのこ文学研究家)

参加費 1000円(会場観覧・オンライン配信)

チケットはオンラインストアからご購入ください。

https://fugensha-shop.stores.jp/

※アーカイブ視聴可能期間は12月19日(日)まで

詳細はこちら

 

■ 画集

『森の天界図像 わがイコン胞子紋 渡辺隆次きのこ画文集』

画・文 渡辺隆次  2420円(税込)

寄稿 飯沢耕太郎(きのこ文学研究家・写真評論家)/宇井浩一(医師・美術コレクター)/四釜裕子(編集者・詩人)/大倉宏(美術評論家)

企画制作 渡辺隆次画文集刊行委員会

発行 株式会社大日本絵画 2021年

B5版・96頁・ソフトカバー

 

展覧会場・オンラインストアにて販売いたします。

 

■作家プロフィール

渡辺隆次(わたなべ りゅうじ)

1939年東京八王子に生まれる。武蔵野美術学校(現武蔵野美術大学)本科・西洋画卒業。東京学芸大学養護科修了。無所属、作品発表は主に個展。デビューは1966年、青木画廊、以降日辰画廊はじめ多数。1977年から八ヶ岳山麓(北杜市)のアトリエで制作。新潟絵屋で2006年より2017年まで4回、ほか本間美術館(山形)、砂丘館、角田山妙光寺客殿(いずれも新潟)、フィリア美術館(山梨)、八ヶ岳美術館(長野)で個展を開催。西ドイツ公立美術館巡回展(グループ展1982年)。1992年より1999年まで武蔵野美術大学特別講師。99年~2003年武田神社(山梨県甲府市)菱和殿天井画制作。04年~05年同神社能楽殿鏡板絵制作。エッセイストとしての著書に『きのこの絵本』『山のごちそう』『八ヶ岳風のスケッチ』(以上ちくま文庫)、『花づくし実づくし 菱和殿天井画』全三巻(木馬書館)、『山里に描き暮らす』(みすず書房)など。今なお精力的に制作を続ける。