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2024/01/05(金) - 2024/01/21(日)

高橋克之個展
「穴の底」

終了しました
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穴の底(塔1) ©️ Katsuyuki Takahashi
F50号/キャンバスに合成うるし、油彩、アクリル

このたび、コミュニケーションギャラリーふげん社にて、2024年1月5日(金)から1月21日(日)まで、高橋克之個展「穴の底」を開催します。弊廊では、2年ぶり3回目の個展となります。

高橋克之は1967年福島県福島市生まれ・在住の油彩画家です。1992年に福島大学教育学部卒業、1995年福島大学大学院修了。1993年に第4回リキテックス・ビエンナーレ大賞受賞、1994年と2003年にはVOCA展(上野の森美術館)に出品。2005年 「New Sprits福島-物語をめぐって」(福島県立美術館)や、2016年・2017年には上野の森美術館大賞展(上野の森美術館)に出品するなど、現在は美術教師を務めながら、アーティスト活動を続けています。

高橋作品は、架空の「街」にあるホテル、病院、集会所、城、遺跡などを舞台に、登場人物が動き、次の場面へと移り変わっていくような、不条理で寓意性のある物語が展開するのが特徴です。また、合成うるしを使用した、立体的で木の幹のような生命感のあるテクスチャーは、架空であるはずの物語が、鑑賞者の目の前にリアリスティックに立ち上がります。

本展では、新作「穴の底」から16点を展示いたします。「もし盲人が盲人を手引きするなら、ふたりとも穴に落ち込むであろう」という新約聖書(「マタイによる福音書」第15章14節)の一説が典拠となる、ブリューゲルの絵画作品「盲人の寓話」に着想を得て制作されました。

本シリーズは、コロナ・ウィルスの感染拡大以降、ニュース番組でよく目にした「「これからどうなるのでしょうか」「それはですね」といったあるやりとり」を「盲人の寓話」が象徴しているように感じた高橋が、模写とアレンジを重ねていって辿り着いたものです。

30年前から現在まで高橋が作り続けている「街」はこれまで平行方向に増築を繰り返してきましたが、今回は垂直、縦方向に場面が展開します。

有名な寓話のその続き、盲人や盲人の案内人が落ちた「穴の底」で繰り広げられる物語は、私たちの目にどう映るのでしょうか?時代や場所にとらわれない、誰もが吸い寄せられてしまうような奇譚の世界をお楽しみください。

穴の底(塔4) ©️ Katsuyuki Takahashi 
F50号/キャンバスに合成うるし、油彩、アクリル

門1 ©️ Katsuyuki Takahashi
F50号/パネルに合成うるし、油彩、アクリル

盲人 ©️ Katsuyuki Takahashi 
F10号/パネルに合成うるし、油彩、アクリル

ガイドヘルパー ©️ Katsuyuki Takahashi
F10号/パネルに合成うるし、油彩、アクリル

■アーティスト・ステートメント

1.地上
濃い霧の中、盲人とガイドヘルパーが歩いていた
ガイドヘルパーは、盲人に情景を説明しながら歩いている
「向こうに、門が見えます」
門の手前まで来ると、「門の番人」と名乗る者が現れた
「門の奥へ、進んでもらえますか」
二人が門の奥へ進んでいくと、穴があった
穴の手前まで来ると、「穴の番人」と名乗る者が現れた
「穴の底へ、降りてもらえますか」

2.穴の底
二人が穴を降りていくと、塔があった
塔に入ると、高さ2mほどの顔の彫像があった
顔の彫像の手前まで来ると、彫像の口が開き始めた
口の中から小人が出てきた
口から出てきた小人は彫像の鼻をのぼっていき、額をのぼっていった
小人が彫像の上までのぼると、彫像はふわりと浮かび、上昇しはじめた
上昇がとまると、小人は大声で「いけない」と連呼しはじめた
盲人はそれを聞いて、塔の外へ出た
柵があった
柵の番人が現れ、極楽浜への道を案内された
二人は極楽浜に向かって、岩場を歩いていった
暗くなっていく岩場を歩いていくと、大きな穴があった
二人は、その穴に気づかず歩き続け、穴の底へ落ちていった
穴の底で顔をあげると、穴をのぞきこむ人の顔が、ぼんやり見えてきた
その顔は、盲人と同じだった
その者は話しはじめた
穴の底はあなたの沼
沼に入って穴に落ちる
そこから先はカシホテル

 

■開催概要

高橋克之個展「穴の底」

会期:2024年1月5日(金) 〜1月21日(日)

火〜金 12:00〜19:00
土・日 12:00〜18:00
休廊:月曜日
会場:コミュニケーションギャラリーふげん社
〒153-0064 東京都目黒区下目黒5-3-12
TEL:03-6264-3665 MAIL:info@fugensha.jp
https://fugensha.jp

イベント:
1月5日(金)18:00〜20:00 オープニング・レセプション
1月13日(土)14:00〜15:30 ギャラリートーク 高橋克之×荒木康子(元 福島県立美術館 学芸課長兼副館長)

在廊日程:
5日(初日):12~15時、18~20時
13(土)13~17時ごろ
14(日)12~15時ごろ
20(土)13~17時ごろ
21(日)12~15時ごろ

■イベント

①オープニング・レセプション

日時:1月5日(金)18:00〜20:00
会場:コミュニケーションギャラリーふげん社
ご自由にご参加ください。

詳細はこちら

②ギャラリートーク 高橋克之×荒木康子(元 福島県立美術館 学芸課長兼副館長)

日時:1月13日(土)14:00〜15:30
会場:コミュニケーションギャラリーふげん社
参加費:1000円(会場観覧・オンライン配信)
※オンライン配信のアーカイブ視聴は 2024年2月11日(日)まで

詳細はこちら

 

■プロフィール

高橋 克之 Katsuyuki Takahashi

1967年 福島県福島市生まれ。1992年 福島大学教育学部卒業、1995年 福島大学大学院修了。

展覧会:
1994年・2003年VOCA展(上野の森美術館)、1995~2014年 個展(東邦画廊/京橋)、1998年福島の新世代98(福島県立美術館)、1999年「現代日本絵画の展望」展(東京ステーションギャラリー)、2001年 個展(喜多方市美術館)、かたちをもとめて-11人の日本作家展(釜山市立美術館/韓国)、2005年 New Sprits福島-物語をめぐって(福島県立美術館)、2011年選抜奨励展(損保ジャパン美術館/新宿)、2012 新収蔵展(佐久市立近代美術館)、2016年・2017年 上野の森美術館大賞展(上野の森美術館)他、2018年 個展「幻影 〜それは幻影でできている〜」(ふげん社/築地)、2021年個展「対面」(ふげん社/目黒)他。

パブリックコレクション:
福島県立美術館、喜多方市美術館、佐久市立近代美術館、府中市美術館、大川美術館

https://k-takahashi.net/