[PeelingCity_book #1]束見本が出来上がりました。 Fumi Sekine 新納翔『Peeling City』制作ブログディレクターの手記 2017.07.18 新納 翔 写真集「Peeling City」特設ページを、本日2017年7月18日(火)にオープンいたしました。 写真集「Peeling City」は、「消えゆく都市の風景」を主題に長年活動を続けてこられた新納翔さんの集大成となります。 これまでの個展「築地0景」(2016年6月)や、記憶に新しい土屋勝義さんとの二人展「築地ラビリンス」(2017年12月)、そして昨年から続いて二期目に突入した写真ワークショップなど、2014年11月に当店をオープンしてからというもの、もはや腐れ縁?と言ってもいいほど、ふげん社と運命を共にしてきた新納翔さん。そんな彼の写真集を出版することが決まったとあらば、ふげん社史上一大イベントと言っても過言ではありません。 弊社は昨年11月から細々と出版活動を始めました。大西みつぐさんの『川の流れる町で』を皮切りに、土屋勝義さんと新納さんの共著『築地ラビリンス』、そして「Peeling City」は第三弾の写真集です。実は、編集、デザインから携わる写真集は、今回が初めてであり、色々な意味で、チャレンジングな一冊です。 発売日9月26日(火)まで約二ヶ月間、こちらのページで制作過程をお知らせしていきたいと思います。1冊の写真集が出来上がるまでをより多くの方々に見届けていただければ幸いです。お付き合いいただきますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。 さて、本日、写真集の「束見本」がふげん社へ届きました! 「束見本」とは、仕上がりと同様の用紙、製本で作ったダミーブックのことです。これを手にすると、出版の実感がわいて、ジーンとくるものがありますね。 仕様は、縦249mm×横255mm×幅17mmの上製本です。 本の中身をしっかりと糸でとじ、別仕立ての厚めの表紙でくるむのが「上製本」です。(中略)表紙と中身に間には「見返し」と呼ばれる紙を挟んでのりづけしてあり、丈夫な表紙と糸かがりした本の中身をしっかりと固定しています。 (ブックンの製本工場より) 「並製本」と比べると、高級感が出て、長期保存に向いた製本です。 しかも、今回は、クロス装!布張りで、重厚な仕上がりです。 クロスのカラーは、「ダイニック」さんが出している「オリエンタルシルク 01」という、若干光沢のある、白寄りのシルバーです。 デザイナーの伊野耕一さん(INO DESIGN)曰く、「アスファルト」をイメージしたとのこと。都市写真集にはぴったりの色合いですね。束見本を手にとったとき、「都会的」で「モダン」なイメージを持ちました。う〜ん、かっこいい! 本文用紙は「b7トラネクスト」という嵩高用紙(低い斤量で高い紙厚を実現する)ですので、しっかりした作りのわりに軽く、手になじむちょうどいい大きさ。いわゆる「手首捻挫系」写真集とは一線を画す、都会のイメージにぴったりの、軽やかでありながら、中身がぎゅっと詰まった写真集となりそうです。 「b7トラネクスト」は印刷再現性の高い用紙でもあり、これは印刷会社の腕がなるというもの。 印刷は、版元「ふげん社」の運営会社である「渡辺美術印刷株式会社」が担当します。 日本アグファ社のスブリマを使用し、高精細240線印刷を実現します。 これから色校正〜印刷の工程に入っていきます。もちろん、作家とデザイナーが印刷の現場に立ち会うことになるでしょう。 作家の思いを受け止めた現場の人間が、どのように応えるのか、そのプロ同士の駆け引きを間近で見られることに、何よりも私たちが一番ワクワクしています! 思わず笑みがこぼれてしまいますね。 これからこのような調子で、写真集「Peeling City」の制作過程を報告していきます。1冊の写真集が世に旅立つまでを、皆様と一緒に見守っていくことができましたらば幸いです。 しばし、お付き合いください。 (2017.7.18 店主)