⑦パリ篇:アートの遊び場、あぁポンピドゥー! Fumi Sekine 欧州三都市見聞録ディレクターの手記 2019.02.22 現地時間2月13日9:39投稿 現地時間2月13日(火)、ロンドン三日目の朝です。 パリの最後のレポートです。 9日(土)は、Beatrixさんのお友達、ベルギー・ブリュッセル在住の写真家Barbara Harschさん(通称Ba-ba chan)と、「ポンピドゥー・センター」へに行きました。 近現代の豊富なアートコレクションがあり、規模はNYのMoMAに継ぎ二位と言われています。美術館、図書館、映画館、カフェ、本屋の施設があり、生きたアートと触れ合える巨大センターです。 建物の骨組みと配管がむき出しになっている建物を見た時に、思わず「これは完成した建物ですか?」と聞いてしまいました。 色とりどりに配色された管はそれぞれ、水色は空気の流れ(空調)、緑は水の流れ(水道)、黄色は電気の流れ、そして赤は人の流れと役割が分かれています。 見た目がカラフルでとってもユニークで楽しい。まるで大きなおもちゃ箱のようで、その見た目はポンピドゥーが思考の遊び場であることを体現しているような気がします。 週末というのもあって、開館前から長蛇の列ができていましたが、お昼ごろには入場制限がかかるほどの人気。子ども連れが多いことにも驚きました。 美術館内はたしかに近現代の名作がずらりと並んでいるのですが、いかめしい感じはまったくなく、明るくゆったりとした空間で、気ままにアートを鑑賞できます。訪れた人はみな、童心に戻りイマジネーションの世界を駆け回ることのできる場所です。パリの名所をパノラマ的に一望できるテラスは、脳内にさわやかな風が吹き抜け、思考の転回を促進させてくれる気がします。 パリのディズニーランドには観光客しか寄り付かず、市民はポンピドゥーへ行く、ということがとてもよく分かりました。 パリに来るなら、オルセーやルーブルもいいけど、こここそ必見です。現在のパリのエスプリを肌で感じられる場所です。 お昼を食べながら、近年のBa-ba chanの素敵な作品を見せていただきました。 ババちゃんの写真は抽象絵画のようです。 ババちゃんが中東の岩をクローズアップして撮影すると、その枠のなかに山や川、森の景色が浮かび上がります。私たちが見逃している景色をとらえ、その中に小宇宙を見せてくれるのです。 自然が織りなす美しいフォルムというテーマは、奇しくもパリ初日に出会ったジャクリーヌさんの作品と通じる気がしました。 来年の春ごろ、ふげん社での展覧会も計画したいと思います。 ブリュッセルに帰るババちゃんを見送ったあとに私たちが向かったのが、ポンピドゥーの近くにあるギャラリー「Marian Goodman Gallery」です。 ここは、ジャクリーヌさんおすすめのギャラリー。大きな門戸を開き、素敵な中庭を通り抜けた先にありました。作品への期待が高まる建築のアプローチです。 Amar Kanwar”Such a Morning”は、インスタレーションとビデオ作品が組み合わさった詩情ある素晴らしい作品でした。ギャラリーのたたずまいも相まって、印象に残った作品です。 ほど近い場所にある同ギャラリーの書店「Librairie Marian Goodman」も、良質なアートブックが揃うすてきなところでした。 また、濃~い一日を過ごしてしまいました。