Columns

第4回
時代にフィットする本づくり【製本篇】

Fumi Sekine

2019.06.26

2019年6月25日から始まる写真展『Geography』にあわせ、同名の写真集をふげん社から出版いたしました。

“The origin of SATO Shintaro photographs”は写真集『Geography』ができるまでの物語です。

前回までの記事は下記からご覧ください。

第1回 すべてはここから始まった

第2回 天から降りてきた造本設計

第3回 現場がひとつになる【印刷篇】

 

 

印刷が無事に終わり、次はいよいよ最後の製本工程です。

 

綺麗に印刷できたとしても、綴じて立体物にならなければ、本として成立しません。

製本は、本が本としてあるための、大切な工程です。

 

今回お願いしたのは、伝統的な和本を始め、高度な技術に下支えされた製本仕事を一手に引き受けている製本会社です。町口さんの造本設計の再現を安心してお任せすることができました。

 

私たちは、二日にわけて立会いさせていただきました。

 

まず拝見したのは、丁合が終わったあとに用紙を揃え、断裁し、のりで仮止めをする工程です。

袋とじの袋側(折山)と背側で同じ厚さにするために、袋側に水を引いて馴染ませるという工程を踏んでいます。

のりの加減が難しい

 

二つ目は、ぶっこ抜き製本のための穴あけ工程です。糸をとおす5つの穴を空けます。

 

 

一冊一冊、職人の手作業で、刺繍針を使って綴じています。

力の加減が強すぎるとたわんでしまうし、弱すぎるとバラけてしまうので絶妙な加減が必要です。

1時間30冊くらいのスピードで進めていくそうです。

 

別日に、最終工程の「くるみ」の作業を拝見しました。

 

写真集の中身に花布と見返しを付けたものを、ハードカバーの本表紙で包む作業です。

まず背表紙の裏に、刷毛でのりを付けます。

のりがついた本表紙と見返しが付いた中身を機械で貼り付けます。

最後に機械で熱して溝(イチョウ)を入れることで、さらに密着させます。

 

 

チームワークが素晴らしく、10分程で50部が一気に完成してしまいました!

 

この包みの機械は、あえて半分手作業を残しておくことで、完全オートメーションでは不可能な、複雑な製本方法に対応することが可能になっています。

のりを付けたばかりの時は表紙が反ってしまうので、1日置いてのりを乾かして、完成です。

 

この製本会社と弊社の共通点は、難しい仕事を積極的に受注して、立会いの機会を増やしていることです。

難しい仕事をこなすことで現場の技術力が上がり、さらに作家やデザイナーと直接会う機会があることで現場のやりがいも出るので、いい成果を生むことができます。

 

今日、本の市場はどんどん縮小して、以前のように大量に生産することが少なくなってきました。

しかし逆に言えば、少数部数かつ、希少価値の高いアートブックを作る出版業界の傾向と、このような小規模な会社の在り方がフィットしてきているのではないでしょうか。

 

この写真集をとおして、次世代の出版に希望の光を力強く感じることができました。

本というメディアが、次の時代に生き残っていく方法を、これからも模索していきたいと思います。

 

 

 

《刊行情報》

 

佐藤信太郎『Geography』

500部限定
エディション・サイン入り

執筆:飯沢耕太郎
造本設計:町口覚

判型:370×263(B4変形)
頁数:66頁
製本:ハードカバー
発行年:2019.06
出版社:ふげん社
言語:日本語、英語
エディション:500

価格:¥10,800(税込)

写真展会期中は、特別価格(¥9,000)で販売いたします。

ふげん社ストアで購入

shashashaで購入

 

《展覧会情報》

佐藤信太郎 写真展 Geography

2019年6月25日(火)〜7月13日(土)

火〜金 12:00〜19:00

土 12:00〜17:00

休廊日:日・月

会場:コミュニケーションギャラリーふげん社

●ギャラリートーク 飯沢耕太郎(写真評論家)×町口覚(グラフィックデザイナー、パブリッシャー)×佐藤信太郎

7月6日(土)

トーク14:00〜15:30
終演後パーティ〜17:00
参加費:2,000円

※イベントは予約制です。ご予約は電話とメールで承っております。
TEL:03-6264-3665
Mail:event@fugensha.jp

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Fumi Sekine
Fumi Sekine プロフィール

ふげん社・ディレクター