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2024/03/07(木) - 2024/03/24(日)

市川信也個展
「2O14 [ni-ou-ichi-yon]」

終了しました
  • Exhibition

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©️ Shinya Ichikawa

このたび、コミュニケーションギャラリーふげん社にて、2024年3月7日(木)から3月24日(日)まで、市川信也個展「2O14 [ni-ou-ichi-yon]」を開催します。ふげん社から刊行される同名の写真集の刊行記念展となります。

1959年京都市生まれの市川信也は、精神科医を生業としながら、写真家として活動しています。精神科医として1997年パリ大学医学部第三期課程(大学院)に留学し、同大学の表現研究センターに所属します。2年間のパリ留学時代は、構内の暗室を自由に使用できたことがきっかけで、写真に没頭することになります。1999年に同センター付属のミュージアムで初個展、そして帰国後の2000年に、精神病棟内で仮面をつけた患者を写した「仮面の告白」の個展を銀座ニコンサロンで開催したのを皮切りに、現在まで銀塩プリントにこだわり、国内外で作品発表を続けています。

本シリーズ「2O14 [ni-ou-ichi-yon]」は、市川が愛読する村上春樹のベストセラー小説『1Q84』にインスピレーションを受けて制作された作品です。市川が夜の公園で犬の散歩をしている時に見つけた「水銀灯に照らされた、滑り台、シーソー、ブランコがあるだけ」の情景が小説のシーンを彷彿とさせ、現実と非現実の境界が失われたような感覚に陥ったと言います。その感覚を写真で表現すべく、4×5inchの大判カメラで夜の公園の遊具を懐中電灯で照らしながら長時間露光で撮影し始めました。また、その続編として、中判カメラに赤外線フィルムを入れて、露出をアンダーにして昼間の公園を撮影しました。
市川が印画紙に定着した、しんと静まり返ったような暗闇に浮かび上がるアスレチックや滑り台、ブランコ、動物を模した乗り物などの遊具は、昼間の喧騒の中にある見慣れたものとは異なり、それらの遊具が、パラレルワールドをスイッチするためのワープ装置のように思えてきます。
写真集『2O14 [ni-ou-ichi-yon]』で、飯沢耕太郎が「異世界への扉」と言及しているように、現実世界をメタモルフォーゼする表現媒体である写真と、村上春樹の無意識部へ深く潜り込むようなパラレルワールドの世界とが美しく溶け合った本作を、ぜひご覧ください。また、並行世界を体現するような、宮添浩司による装丁の写真集を、ぜひお手に取っていただければ幸いです。

©️ Shinya Ichikawa

©️ Shinya Ichikawa

©️ Shinya Ichikawa

■開催概要

市川信也個展「2O14 [ni-ou-ichi-yon]」

会期:2024年3月7日(木)〜3月24日(日)

火〜金 12:00〜19:00
土・日 12:00〜18:00
休廊:月曜日、祝日(3月20日)

会場:コミュニケーションギャラリーふげん社
〒153-0064 東京都目黒区下目黒5-3-12
TEL:03-6264-3665 MAIL:info@fugensha.jp
https://fugensha.jp

在廊日程:
3月8日(金)、9日(土)、10日(日)、22日(金)、23日(土)、24日(日)

 

■イベント

3月9日(土)14:00〜15:30
ギャラリートーク 市川信也×菅沼比呂志(キュレーター)

トークショーの後、ささやかなパーティーを開催いたします。

詳細はこちら

チケットは、オンラインストアからご購入ください。
https://fugensha-shop.stores.jp/
※オンラインストアからのご購入が難しい場合は、ふげん社(03-6264-3665)までご連絡ください。
※配信チケットのアーカイブ視聴可能期間は2024年4月7日(日)まで

■アーティスト・ステートメント

このシリーズは村上春樹の1Q84にインスパイアされたもので、ニイ・オー・イチ・ヨンと読む。小説の中に、天吾が青豆を人気のない夜の公園の滑り台の上で待つシーンがあった。家の近くの公園で犬の散歩をさせていた時、たまたま同じようなシーンに遭遇した。静かな闇の中、私と犬以外には水銀灯に照らされた、滑り台、シーソー、ブランコがあるだけ。

村上春樹の小説には、二つの月が登場したり、いつもある種のファンタジーが含まれていて、そこでは現実(reality)と非現実(unreality)の境界が失われているかのようだ。その公園では一つの月しか出ていなかったが、何か奇妙な空気を感じたのだ。

公園は我が国の至る所に見られ、写真の被写体としてはあまりに平凡だと考えていたのだが、その夜の経験を経て、自分が住む町の身近な公園を撮り始めた。

村上ワールドは大変複雑で、写真でそれを表現するのは至難の技と思われるが、これらの公園の写真の現実(reality)の中に、非現実(unreality)な何かを見出していただければと思う。

■プロフィール

市川信也 Shinya Ichikawa

1959年京都市生まれ。小学校高学年の頃、蒸気機関車を近畿各地に撮りに行く。中学時代に初めて暗室を経験。高校時代は美術部に所属し、大学時代は写真部に所属。就職先では写真部を立ち上げる。1997年パリ第5大学第3期課程に留学、表現研究センターに属し、最初の個展を1999年に同センター付属のミュージアムで行い帰国。
帰国後は京都写真クラブに属し、毎年1~2回のグループ展に参加。理事としてもクラブ運営に携わり、2023年4月からは代表に就任。日本の他、フランス、中国、韓国でも個展を十数回開催、ギリシア、イギリス、米国、フランスなど世界各地の写真祭や写真展にも参加、多数の国際的な賞を受賞し、その作品はフランス国立図書館などに収蔵されている。

https://www.shinyaichikawa.com/

■写真集概要


2O14 [ni-ou-ichi-yon]

著者:市川信也
寄稿:飯沢耕太郎
デザイン:宮添浩司

サイズ:216×276mm
仕様:2冊組・スリーブケース付き

発行日:2024年2月22日
発行所:ふげん社

定価:3,300円(税込)
ISBN 978-4-908955-26-6

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