[PeelingCity_book #2]製版と色校正について Fumi Sekine 新納翔『Peeling City』制作ブログディレクターの手記 2017.08.25 印刷立会いのようす。新納さんの表情がすべてを物語っています! こんにちは。『PEELING CITY』制作ブログを立ち上げたはいいものの、しばらくのあいだ更新を怠っており大変失礼いたしました。 この一ヶ月写真集の制作に追われておりましたが、やっと印刷の段階までこぎつけ、今週8/21、22と印刷立会いをおこなっていました。 出来上がりは上々です!! リアルタイムなレポートをお読みになりたい方は、TwitterやInstagramでタグ「 #peelingcity_book 」をぜひ検索してみてください。新納さんやふげん社がツイートしているのをご覧いただけるかと思います。 さて、今日は印刷の前の工程である「製版」と「色校正」についてお話したいと思います。 写真集作りのかんたんな流れは下記のとおりです。 編集→製版→色校正→印刷→製本・加工 収録する写真作品が決まったら、写真データを製版します。 写真のデータは、RGBというRed、Green、Blueという光の三原色でできています。それを製紙の工程で、紙の上で再現可能なCMYKのデータに置き換えます。 CMYKとは、C=cyaan(シアン)、M=magenta(マゼンタ)Y=yellow(イエロー)、K=ブラック。印刷物は、基本的にこの四色でできています。 モニター上のデータ(RGB)と、紙の上で再現できる色(CMYK)の幅が違うため、製版の段階で、印刷に適したデータに調整するということです。 さらに、同じデータでも、用紙の種類によって表現が変わってきます。つまり使用する用紙の特性も把握しつつ、データの色調整をする必要があるのです。 写真がただの画像データから、紙に定着して本となる際、作家が思い描くカラーを忠実に再現するために、製版はとっても大切な工程なのです! 写真集PEELING CITYの製版工程はこんなかんじでしたよ。 ●7月5日 顔合わせ・原稿うけとり 左から、デザイナーの伊野さん、新納さん、製版の大戸さん。 作家のプリントは、大事な色見本となります。 新納さんの作風を見て、色調整の方向性を相談しました。 ●7月28日 一回目の校正チェック 色調整した写真を、弊社工場にあるプルーフマスターで色校正を本紙(実際の印刷で使う用紙)に出力し、チェックします。 『PEELING CITY』の用紙には、「b7トラネクスト」を採用しました。色が沈みやすい傾向にあるので、それを考慮した製版になっています。 作家のプリントと色校正を見比べ、色校正の修正したい箇所に赤ペンで修正の方向性の指示をします。 『PEELING CITY』のテーマは「影」「暗部」。 影の部分がはっきりと見えすぎてしまっている写真は、あえて暗くつぶすという指示もありました。 写真集をお手にとった際には、都市に暗く落ちる影にぜひご注目ください。 ●8月17日 二回目の校正チェック 二回目の修正を経て、再校正をチェックします。 表紙の写真も、ばっちり色が出ました! ほとんど言うことなし。これで印刷に取り掛かる準備は整いました。 印刷の現場でも、たくさんの調整はできますが、しっかりと製版の段階で正しい方向性にデータを修正していないと、印刷で120%の力を出せません。 今回は、大事な大事な製版の工程のお話でした。 また近いうちに記事をアップします。ご期待くださいませ。